働き方より
先に制度
定年後の手取りは、働き方だけでなく、給付と年金の組み合わせで決まります。順番を逆にすると、損な選び方をします。
「再雇用で年収が半分になる」と聞いて諦める人は多い。しかし半分になるのは額面であって、手取りの下がり方は別です。まず仕組みを見ます。
選択肢は4つ
それぞれ収入の決まり方が違う
①同じ会社で再雇用。最も多い選択。収入は下がるが、雇用は続く。制度上の給付が関係します。
②他社へ転職。経験を評価する企業へ。60代の求人は職種によって差が大きい。
③業務委託・顧問。時間の自由度が高い。収入は不安定だが、年齢の制約がない。
④働かない。年金と貯蓄で生活する。これも選択肢として計算に入れる。
多くの人が①だけを検討して決めますが、②③は「試してから決められる」のが利点です。在職中に市場を見ておけば、①の条件が妥当かどうかも判断できます。
手取りが決まる仕組み
定年後の手取りは、次の要素の合計で決まります。額面だけを見ると判断を誤ります。
①賃金。再雇用後の給与、または新しい勤務先の給与。
②年金。老齢厚生年金は受給開始の年齢と、働きながら受け取る場合の調整(在職老齢年金)があります。賃金と年金の合計が一定の基準を超えると、年金の一部が支給停止になる仕組みです。
③雇用保険の給付。60歳以降に賃金が下がった場合の給付制度があります。ただし制度は見直しが続いているため、必ず最新の内容をハローワークで確認してください。
④社会保険料と税。働き方(雇用か業務委託か)で扱いが変わります。
重要なのは、②と③は制度の内容が改正されることがある点です。数年前の情報で判断すると、実際の手取りとずれます。年金は年金事務所、雇用保険はハローワークで、必ず自分のケースを確認してください。
確認する順序
①ねんきん定期便を見る。受給見込み額と、受給開始年齢。ここが土台。
②年金事務所で「働いた場合」を試算してもらう。賃金がいくらなら年金がどうなるか。これは自分では計算しにくいので、聞くのが早い。
③勤務先の再雇用条件を確認する。賃金、職務、勤務日数、契約期間、更新の有無。
④②と③を足して、手取りを出す。
⑤他の選択肢と比べる。転職・業務委託の場合の見込みと並べる。
③だけを見て「安い」と判断するのが最も多い誤りです。②と組み合わせて初めて実際の手取りが分かります。
いまの経験が市場でどう評価されるか無料で確認する
応募を前提としない情報収集としての面談もできます。オンライン対応・無料です。
- 面談は無料・オンライン対応です
- 掲載内容は各社公式サイトの公表値です
- 制度の適用可否は個別の状況によります
再雇用を選ぶ場合
再雇用は「続きの雇用」に見えて、実際には新しい契約です。次を書面で確認してください。
・賃金と、その決まり方(一律か、職務ごとか)
・職務内容。これまでと同じか、変わるか
・勤務日数・時間。週4日や短時間の選択肢があるか
・契約期間と更新の条件。何歳まで更新されうるか
・賞与・退職金の扱い
・社会保険の加入(勤務時間により変わります)
3つ目は交渉の余地があることが多い項目です。「週5日でこの額」より「週4日で少し下げる」ほうが、時間あたりでは有利になる場合があります。
いつから動くか
定年の2〜3年前が現実的な起点です。理由は3つ。
①社内の選択肢は、直前には変えられない。専門職コースや関連会社への移籍は、数年前から動く必要があります。
②転職市場での評価は、年齢とともに変わる。60歳前と後では、求人の数が違います。先に見ておくだけでも判断材料になります。
③生活設計の組み直しに時間が要る。住宅ローン、保険、支出の見直し。収入が下がってからでは、選べる手が減ります。